貸金業規制 金利区分の修正検討 自民党は19日、先週合意した貸金業規制の見直し案のうち、利息制限法の金利区分の一部を修正する検討に入った。今回の見直し案ではグレーゾーン(灰色)の高金利を原則撤廃し、金利を引き下げるにもかかわらず、
一部の貸し出しでは今より金利が上がってしまう。このため、金利が上がる高額貸し出しの区分を縮小する方向だ。
具体的には年15%の金利を適用する区分を、元本500万円以上から300万円以上とし、300万円以上500万円未満の金利を年18%から15%に引き下げる案を軸に検討する。規制見直しへの批判に早めに対応し、借り手の負担を軽くすることで、関連法案の早期成立をめざす。
自民党が15日にまとめた貸金業規制の見直し案では、特例以外の貸し出しに適用する上限金利の区分を、〈1〉元本50万円未満の貸し出しは年20%(現在は10万円未満)〈2〉50万円以上500万円未満は年18%(同10万円以上100万円未満)〈3〉500万円以上は年15%(同100万円以上)に改めるとしていた。
しかし、区分の変更によって、元本10万円以上50万円未満や、100万円以上500万円未満の借り入れでは、今より金利が上がってしまう。多重債務問題に取り組む弁護士らは
「金利を引き下げて多重債務者の発生を防ぐ見直しの趣旨に反する」として、自民党案の最大の問題点として追及する構えを見せていた。
19日開かれた同党の政務調査審議会は15日の案を大筋で了承したが、こうした批判に配慮して、区分をさらに一部見直す方向になった。再見直しでも金利が上がる区分は残るため、10万円以上50万円未満などの区分を見直す可能性もある。
(2006年9月20日 読売新聞)
貸金業規制強化:金利区分の扱い、公明党との調整残る 与謝野馨金融・経済財政担当相は19日の閣議後会見で、自民党がまとめた貸金業規制の関連法改正案について
「金利の金額刻みの問題は、最終的に決めないといけないものが残っている」と述べ、利息制限法の金利区分の扱いをめぐり、公明党との調整が残っていることを明らかにした。自民党は同日の政調審議会で改正案を了承したが、今後の与党間の協議次第では一部修正される可能性もある。
現在の利息制限法は上限金利を、融資の元本10万円未満の場合は20%、100万円未満は18%、100万円以上が15%と定めている。しかし改正案は「利息制限法制定当時からの物価上昇を考慮する」として金額の刻みを5倍に引き上げ、50万円未満、500万円未満、500万円以上にした。
ただ、消費者金融1社当たりの平均利用額が約40万円であることなどから
「刻みの引き上げで、これまで18%で借りていた利用者が20%で借りなくてはならなくなるケースが多数出てくる」との批判もあり、公明党の一部に慎重論がある。
この問題で、日本弁護士連合会も同日
「多くの利用者の負担増になる改悪」として、反対する声明を発表した。日弁連は自民党案が少額・短期の貸し出しに限り、上限を超える25.5%の特例金利を認めたことに対しても「一切の特例を設けることに反対」と見直しを求めていくとしている。【坂井隆之、清水憲司】
毎日新聞 2006年9月19日 21時49分 (最終更新時間 9月19日 22時53分)