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2006年09月01日

金利過払い…国保払えず 診療ためらい死亡

消費者金融などへの返済で国民健康保険料を支払えなくなり、保険証を取り上げられる「無保険者」が増えている。医療費が全額自己負担になるため病院に行かず、重病になったり、死亡した人もいる。利息制限法(15〜20%)を超えるグレーゾーン金利で返済を続け過払いになっている場合が多く、弁護士らは「消費者金融からもっと過払い金を取り戻せば、保険料を納められる人は増える」と指摘している。【多重債務取材班】

 ◇「生活苦で余裕ない」

 建設会社に勤めていた愛知県一宮市の男性(58)は87年、仕事上の付き合いで大手消費者金融から20万円借りた。会社が倒産し、コンビニエンスストアの経営を始めたが赤字が続いた。住宅ローンや子供の学費を払うため、借りては返したが、99年に保険料を払えなくなり、持病の糖尿病の治療をやめた。

 生活苦が原因で離婚し、店も閉めた。大型車の運転手をしながら返済を続けたが、一昨年、右折信号の矢印が見えなくなった。1年後には失明寸前になる。やむを得ず病院に行くと「糖尿病の悪化が原因」と診断された。生活保護を受け、手術で失明は免れた。

 消費者金融に今も50万円の借金があると思っていたが、弁護士から「97万円の過払い」と知らされた。保険料を滞納する2年前から、支払わなくていい利息を返し続けていた。男性は「生活が苦しかったから、金利が高いか安いか考える余裕もなかった」と言う。
どうしよう
 男性の債務整理を担当する滝康暢弁護士は、この3年間で16人の過払い金を消費者金融から取り返した。「利息制限法の金利なら保険料を滞納していなかった人がほとんど」という。一宮市では国民健康保険税の未納が05年度末で1万5758世帯と4世帯に1世帯に上る。3年以上の滞納金は29億2000万円で、弁護士は「うち7割は過払い金を取り戻せば支払える」と試算する。

 島根県益田市では昨年12月、自営業者の67歳の男性が持病の高血圧や頭痛を抱えながら診療をためらい、くも膜下出血で死亡した。家族が弁護士に相談し、約1500万円が過払いになっていたことが判明。長男(40)は「生前に過払いと分かっていれば」と悔やむ。

 毎日新聞の調べによると、国民健康保険料の長期滞納を理由に、医療費の全額自己負担を求められる「無保険者」は04年度に全国で30万世帯を超えている。

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 ◇情報をお寄せください

 ファクス 03・3212・0635

 Eメール t.shakaibu@mbx.mainichi.co.jp

 〒100−8051(住所不要)毎日新聞社会部 多重債務取材班

毎日新聞 2006年9月1日 東京朝刊
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2006年09月03日

「全情連」個人情報、無担保融資でも悪用

◇大手、顧客勧誘で

 消費者金融の顧客情報を管理する全国信用情報センター連合会(全情連)の個人信用情報が不動産担保ローンの勧誘ばかりでなく、貸し出しの大半を占める通常の無担保ローンの勧誘にも悪用されていることが分かった。ある大手は全情連で顧客への他社の融資状況を調べ、限度いっぱいまで借りるよう電話攻勢をかけていた。個人信用情報は本来、過剰融資を防ぐために利用するよう法律に定められており、全情連は「事実なら処分を検討する」としている。

 この大手を数年前に退職した30代の男性によると、支店には、他社からの借入額や件数に応じて客にいくらまで貸せるかを判断するマニュアルがあった。男性は「情報センター(全情連)にアクセスし、マニュアルに示された限度額を少しでも下回っている相手を見つけ、電話をかける。それが営業のすべてだった」と言う。

 長年この大手を利用する兵庫県内の無職男性(62)は「返すたびに電話で執ように借り入れを勧められてきた」という。今では限度額いっぱいの100万円を借り、他社への債務も重なって返済難に陥っている。

 別の大手もほぼ同様の勧誘を行い、現役社員によると、その手法は社内で「TM」(テレホン・メッセージ)と呼ばれているという。

 全情連は33の個人信用情報会社の連合体で、消費者金融の照会に応じて借入額や件数などの情報を提供する。貸金業規制法や金融庁のガイドラインは、借り手の返済能力を超える場合や不必要な融資を禁じ、個人信用情報について「返済能力の調査以外の目的に使用してはならない」と定めている。【多重債務取材班】

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 ■解説

 ◇目的外利用に罰則必要

 大手消費者金融が全情連の個人信用情報を営業に悪用していた実態は、借り手の多重債務化を防ぐ貸金業規制法の趣旨を踏みにじり、全情連の存在意義を否定するものと言える。

 現在、貸金業制度改革の論議は金融庁から自民党に舞台を移し、利息制限法(15〜20%)と出資法の上限(29・2%)の間のグレーゾーン金利を原則解消する一方、少額・短期の融資には特例でグレーゾーン金利の適用を認めるかどうかの攻防が続く。

 特例については「1人当たり2〜3社で30万〜50万円」という総量規制が検討されているが、そのためにはすべての貸金業者が全情連に加入し、個人信用情報を厳正に利用することが前提となる。

 現状では全情連への加入率は2割程度にすぎないが、このまま加入業者を増やしても、総量規制どころか悪用や情報漏えいのリスクが高まるだけだ。現行の貸金業規制法は信用情報の目的外利用に罰則がない。多重債務を防ぐためには「特例ありき」で議論する前に、早急に罰則を設けるべきだ。

毎日新聞 2006年9月3日 東京朝刊
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2006年09月09日

自主規制に大手が「抜け道」、子会社を紹介

◇4社から借金の客、融資しない自主規制

 ◇半年で10億円貸し付け

 大手消費者金融の1社が、過剰融資を防ぐために上位5社で設けた自主規制などで融資できない多重債務者1万2000人以上を複数の子会社へ紹介し、半年間だけで10億円近くを貸し付けていたことが分かった。客を子会社へ巧みに誘導するマニュアルを社員に配り、紹介を奨励していた。貸金業規制法の見直しでは、1人当たりの融資額の総量規制も論議されているが具体性に乏しく、今後も過剰融資の抜け道が容易に作られかねない実態が浮かんだ。【多重債務取材班】

どうしよう  消費者金融上位5社は、過剰融資が債務者を破産や自殺に追い込んでいるとの批判を受けて97年に「自社が融資する場合は他社の借り入れは3社まで」とする自主規制を申し合わせた。すでに4社から借りている客には、原則として融資しないことになっている。

 ところが、大手1社や子会社の内部資料によると、04年10月〜05年3月の半年間に、本体では貸せない「融資断り顧客」(多重債務者)の1万2171人を複数の子会社へ紹介。3239人に計9億8298万円を貸し付けた。この結果を社員への通達で「前期比177%増の融資実行でシナジー(相乗効果)によるグループ収益の向上」と評価し、「今期も徹底をお願いします」と呼びかけていた。

 社員に配られたマニュアルには、自社の融資を断り、子会社を紹介する方法や、客から質問を受けた際の答え方が具体的に記され「(子会社への)斡旋(あっせん)行為と取られるような過度の案内を行うことのないよう注意して下さい」と留意点が記載されていた。

 子会社の静岡県内の支店長を務めた男性(47)は「親会社の支店と通りをはさんで向かい合い、親会社の社員が『この方に貸してあげて下さい』と頻繁に連れてきた。客が他社へ流れるなら子会社で、という方針が以前から徹底されていた」と証言する。

 この大手は先月になって突然、社員へ「グループ会社間の案内を中止する」と通達。支店で保管している関係資料を直ちにシュレッダーで破棄するよう指示した。理由について「過剰貸し付けに該当する懸念があるため」と記載している。

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毎日新聞 2006年9月9日 東京朝刊
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